2月26日(火)
226の日がやってきたけど雪は降らなかった。車庫の雪下ろしをさぼっているので昨日の地震で倒れなくて良かった。昨日は病院で治療してそのまままたプチ入院。点滴を4時間やって帰宅は夜。そんでもって朝から気分が悪ソッコー寝たきりになる。昼過ぎやっと起きられるようになったが、もしかすると来週入院だ。せっかく体力着いてきたのにな、社会復帰なんてはるか遠い先。
『長生きしたけりゃ肉を食うな』(若杉友子 幻冬舎)
後編です。( )に引用元がない場合はすべて『長生きしたけりゃ肉を食うな』からの引用です。
昨日は「マクロビオティックをやっていても、ガンになるんですか?!」ってたんですが、長生きするためには「肉を食べなきゃいい」ってだけじゃなくて、そのほかの食べ物にも気をつけないといけませんね。
「一般的に、アルカリ性の食べ物は血を汚さず、酸性の食べ物は血を汚してしまう」(p182)のだそうです。しかも「アルカリ性と酸性の食べ物にも陰性と陽性のものがあり、アルカリ性でも極陰性のものを食べると身体を冷やしてしまいます。また、アルカリ性で極陰性の食べ物は、血を薄くして免疫力や自然治癒力を低下させてしまいます」(p182)「一方、酸性で極陰性の食べ物は、血を汚し、血液の流れを悪くします。そのため、がん、動脈硬化、高血圧になったり、心筋梗塞、脳内出血を起こしやすくなり」「自然治癒力が低下」するのだそうです。(p186)
ではその一覧表を見てみましょう。
納豆は載ってませんね。味噌はいいのに納豆はダメ。「人工の納豆菌を使って大量生産しているから」(p205) だそうですけど、若杉ばあちゃんは「麹屋」の存在を知らないんでしょうか。藁苞納豆は確かに藁に付着している納豆菌で作りますが、その納豆菌を増やして使っているだけで「人工」と言うんなら、味噌もお酒も自家製の麹菌で作っているところなどあるんでしょうか。不思議です。
そのうえ大豆と豆腐は極陰性でダメなんですね。「マクロビオティック」の区別は難しいです。
あら、わたしが毎日採っているリンゴがありませんね。本の中を探してみましょう。
ありました。リンゴは陽性ですね。
「ただし、品種改良されて糖度が高くて甘く、巨大化したリンゴは例外です。日本の国光や紅玉が最高です」(181)
あれれ? ワタシは以前リンゴの歴史と品種について調べたことがあるんですが、日本古来(平安~江戸)のいわゆる「和リンゴ」は直径3~4cmで食べなかったハズですね。国光も紅玉も明治時代にアメリカから苗木で品種改良されたものです。これってダメなんじゃないんですか?
う~ん、ワタシの乏しい体験や知識ではよくわからないことばかりになりました。仕方がないので文献で確認してみましょう。
まず『がんに効く生活』です。
世界中でベストセラーになり、日本の代替医療のセンセイのアンチョコでもあります。
では、身体にいい食品の画像を(『がんに効く生活』p210)で見てみましょう。
ありゃ~、これはダメですね!
大豆や豆腐、トマトにナス、おまけに魚に肉乳製品まで!
極陰性のオンパレードですね。かえって病気になってしまいますよね。作者はシュレベール?! アメリカ人ですね!ハンバーガーばっかり食ってるんでしょうね。「パンは万病のもと」(p218)って知らないんでしょうね。やっぱり米を食う日本人じゃないとダメですね。
では『乳がんと牛乳』で見てみましょう。
肉と乳製品は採らない、という説なので今度は大丈夫でしょう。
「大豆はこの世に存在する食品の中で、もっとも栄養価の高い食品のひとつである」「豆腐は、小さな子どもからお年寄りまで、すべての人にとって優れた食品である。豆腐は、身体によい物をたっぷり含んでいるのに、わるいものはほとんど含んでいない」(『乳がんと牛乳』p175)
また大豆と豆腐かい! これは極陰性なので採ってはいけないんだよ!
「野菜と果物はがんの発生を防ぐ物質やその前駆物質を豊富に含んでいる」(『乳がんと牛乳』p182)
つぎは野菜に果物?! 身体が冷えるから果物はダメなのに。
なにいってんだろうね。
「ニンニクはがんの成長や動脈硬化を押さえる強力な抗酸化物質も高濃度に含んでいる」(『乳がんと牛乳』p183)
こんどはニンニクかい! これは酸性食品だからダメなの!
この本もダメですね。作者はジェイン・プラント。今度はイギリス人ですか。味オンチが多いからねイギリス人は。人間はごはんさえ食べてればいいの! 日の丸弁当の日本人じゃないとダメですね。
えっと、次は…済陽高穂センセイです。
やっと日本人です。いま本屋でも病気の棚に平積みで売れてる人です。期待できそうですね。
どれどれ…『今あるがんに勝つジュース』だって。ジュースは酸性極陰だよ。
しかも「ジュースにおすすめの食材」(『今あるがんに勝つジュース』p21)だって?!
なんだいこれは!レモンにトマト、酸性で極陰性のハチミツにヨーグルト!
こんなの食べてると「前立腺肥大や心臓肥大」「うつや偏頭痛」(p186)「更年期障害」「インポテンツ」(p185)になっちゃうことを知らないのかね。
「とらないほうがいいもの」(『今あるがんに勝つジュース』p27)
塩分をかぎりなく0に近づける?
「塩分が不足して低体温になり、抵抗力もなくなって身体がだるく、体力も気力も減退してうつ状態になる」(p104)
「低体温の人が減塩をすると、かえって体調が悪くなり危険です」(p105)
っていうのが分かんないんだろうね。
「がん抑制効果の高い食品を『デザイナーフーズ・ピラミッド』にまとめ」(『今あるがんに勝つジュース』p158)
一番いいのがニンニク?!
酸性食品だからダメなのに。
大豆にレモン、ナスにトマト…身体を冷やすものばっかりだ。
これはアメリカの研究かい。もうアメリカはダメだね。
この済陽センセイは「ゲルソン療法」か。ドイツの医学博士だね。
アメリカの医療機関じゃ違法らしいじゃないか。ダメダメだね。米と味噌さえあればいいのさ。葦原瑞穂の国って言うだろう。大和魂がない日本人じゃないとダメですね。
『粗食生活のすすめ』(幕内秀夫) 「粗食」いいねえ。
「まずはごはんを食べることだ」(『粗食生活のすすめ』p95)
「日本の保存食は、どれも多くの塩分を含んでいる」(『粗食生活のすすめ』p104)
そうだよ! まずはごはん、多くの塩。それがいいんだね。
あれれ、こんなことも書いてある。
「マクロビオティックの普及団体の合宿に参加したことがある」「そこで見た参加者たちの様子は、かなり異様なものだった」「肌はややドス黒くなり、ガリガリにやせ細っている」(『粗食生活のすすめ』p47)
それどころか「逆に、マクロビオティックの実践が『まだ足りない』と考え、『もっとしっかりやらねば』と自分を責める人が多い」(『粗食生活のすすめ』p48)
なんじゃあ、こりゃ「マクロビオティック」ってまるで宗教みたいだね。そういえば「マクロビオティック」では一物全体とか身土不二なんていうし…お経みたいだ。まだまだ勉強しなけりゃ。
ずっと見てきたけど似たような主張でもずいぶん違うんだね。
豆腐や納豆がダメで味噌は良いとか、難しいな。ますます分かんなくなってきた。
仕方がない『代替医療のトリック』(S・シン 新潮社)で調べてみよう。
このs・シンは名作『フェルマーの最終定理』(新潮文庫)というノンフィクション作家である。数式は100%わからなかったけど、いい本だ。科学的だし、判定してもらおう。
この『代替医療のトリック』には後半80ページにわたって、それこそアロマテラピーからカイロプラティック、「指圧の心、母ごころ」の浪越徳治郎さんまで100以上の代替医療について載っている。
食事療法だけでもアマ排出ダイエット、ゲルソン療法、デドックス…あれ、「マクロビオティック」がない?! 「マクロビオティック」は世界では認知されていないの?日本の土俗信仰なの?じゃあ、載っていないのも当然。
こんなことが書いてありますね。
「代替医療の中には、患者を栄養不良に陥らせるものがある」「がん患者に対し、ひどく制限された食事を与えれば、早すぎる死を招いたり」「厳しい制約を守ることができない患者に対し、罪の意識を抱かせる」(『代替医療のトリック』p383)
載ってはいないけど「マクロビオティック」に当てはまりそうだな、いや、どっかで見たような…
『はなちゃんのみそ汁』で末期ガンで苦しいのにモルヒネを飲んだフリして隠したりしてましたね。そんなにまでして守らなくちゃいけなかったんでしょうか。あ、まさか……若杉ばあちゃんの夫はまさか死にたくないので「マクロビオティック」をやらなかった……まさかね…
結局「若杉ばあちゃん=マクロビオティック」はワタシには不可解でした。
日本大好きそのほかはダメの「尊皇攘夷」のような、科学的裏付けのない「大和魂一点突破主義」でしかない気がします。
テキトーにいいとこ取りの食事療法とかエセベジタリアンが私には合ってますね。
若杉ばあちゃんのご健康とご長寿をお祈りいたします。